2013年10月27日日曜日

PS4の販売予想(2) PS3との競合(4) ソニーの野望。犠牲になったPS3

先のエントリー「PS4の販売予想(2) PS3との競合(2) PS3は早すぎたハード」の続きです。

日本では2014年2月22日となったPS4の販売。これがどんなスタートとなるかを予想していくためにPS3とはどんなハードだったのかを振り返るシリーズ。

PS2の大成功のあと、PS3発売に向けてソニーが新しいハードに課したお題目。その一つはBlu-ray(ブルーレイ)の普及にあったことでしょう。

PS3発売の2006年は、次世代DVD規格である、HD DVDとBlu-ray Disc の二つの規格が激しく争っていました。

当時まだ対応ソフト(映画などの映像コンテンツ)やプレイヤーが少しづつ発売され始め、消費者としては、どちらを選ぶべきか判断しかねる状態でした。

その昔、松下(現Panasonic)が率いるビクター製のVHSとソニーのベータマックスという激しい規格競争がありました。

機能的にはベータマックスの方が優れていたものの、コスト面や松下電器の強力な販売網などにより、ソニーのベータマックスは敗れます。

ソニーとしては、絶対に負けたくない次世代DVD規格争いです。勢いのあるゲーム事業でこれに決定打を打つべく、PS3のBlu-ray Disc 対応は必須の項目だったでしょう。

また、ソニーにはもう一つの野望がありました。

高性能な汎用MPU(CPU)の独自開発と普及です。

PS2に搭載されているプロセッサ(MPU)はソニーと東芝の共同開発のものですが、PS3を開発するに当たり、さらに強力なプロセッサの開発に本格的に乗り出します。

ソニーは5,000億円を投じて新しいプロセッサ工場を立ち上げます。プロセッサの名称はCell Broadband Engine(セル)となり、これがPS3の心臓部となります。

ソニーの夢 Cell Broadband Engine


CPUなどのチップは大量生産が続けば続くほど効率化が進みコストは下がりますので、発売から5年半で全世界一億台を突破したPS2の後継機であるPS3にセルを搭載することで、セルの生産体制を充実させ、PS3以外のコンピューターにも搭載する青写真があったと思われます。

セルを動かすためのシステムはPS3のOSとして組み込んでいますから、PC用のCPUとして今もなお独占状態であるインテルや、同じく独占状態のWindousOSのマイクロソフトへの対抗として、ソニーがセルの普及を目論んでいたと思われます。

つまり、セルはPS3のために作られたCPUのようですが、その存在の意味はもっと大きな将来を描いた、ソニーの壮大な野望に基づいたチップだったのです。

多くの課題を持たされて発売にいたったPS3。次世代DVD規格争いにBlu-ray Discは勝利しますが、PS3自体の爆発的なヒットとはなりませんでした。

高コストなセルの搭載、無理やり詰め込んだPS2互換が生んだ高額な価格設定が無ければ。
単純なPS2の上位機種としてのみ存在するPS3が開発されていたらどんなハードだったのか。
気になるところです。

PS4の販売予想(2) PS3との競合(3) PS3は早すぎたハード

先のエントリー「PS4の販売予想(2) PS3との競合(2) なぜPS3は高額になってしまったのか」の続きです。

世界的には2013年年末と、日本では2014年2月22日となったPS4の販売。これがどんなスタートとなるかを予想していくためにPS3とはどんなハードだったのかを振り返ることで読み取って行きたいと思っています。

Blu-ray(ブルーレイ)ドライブを搭載とPS、PS2との互換も実現しハイビジョンでのゲームを可能とした高性能ハード。その代償が49,800円(20G)と59,800円(60G)という価格でした。

PS2の価格は39,800円。そのライバル気、セガサターンは44,800円でしたから、49,800円という価格は実はそんなに突拍子も無い価格ではなかったように思います。
※セガサターンは49,800円が本来の価格で、販売当初は5,000円引きで販売したつもり。(wikiより)

同時に発売した60Gのモデルが6万という価格だったのが失敗だっと思います。
PS3って6万もするの!というイメージがついてしまったと思うので。。

さておき。

2006年11月11日に発売されてから、約一年後の2007年の11月にPS2の互換機能を切り捨てた新型は発売されます。その価格は39,980円。

1年後に39,800円はPS2の発売価格と同じになったことになります。

PS2の互換がなくなったPS3は39,800円


発売から1年での価格改定。それもPS2互換を切り捨てての値下げでした。
PS2の互換を実現していた初期型のPS3は、ソフトウェアでのエミュレーションではなくハード的にPS2そのものを搭載した無理のある設計だったようで、これをなくすことがコストカットに大きく起因していたことは間違いないでしょう。

通常はゲームハードは発売後製造コストは徐々に下がっていくもので、使われている部品。特にメインMPUなどのチップ大量生産や技術進歩による低コスト化などが起因していますが、PS3の発売から1年後の1万円の値下げはそのようなものというよりは、PS2互換という機能を省いた強引なものでした。

もともと無理のあったPS2互換を取り払うことで、やっと適正な価格となったPS3という見方もできると思います。

PS3はPS2との互換をとるために、PS2自体を内包するような複雑怪奇なハードとなってしまったのでしょうか。。

これには、ソニーの大きな野望が存在していたようです。

つづく

2013年10月26日土曜日

PS4の販売予想(2) PS3との競合(2) なぜPS3は高額になってしまったのか

先のエントリー「PS4の販売予想(2) PS3との競合」からの続きです。

PS4の販売台数予測をする上で欠かせない現行モデルのPS3。2006年の発売から7年が経つPS3は発売当初は49,800円(20G)と59,800円(60G)という2モデルという、非常に高価なハードでした。

同じ時期に発売されたライバル任天堂のWiiが25,000円で、PS3と比べると半額。同時期に発売された新型ハードにもかかわらず、これほど価格差があったのは珍しいことかもしれません。

とはいえ任天堂は、スーパーファミコン以来、NINTENDO64もゲームキューブも25,000円という価格設定なので、別に変わったことではないのですが、Wiiに比べていかに高性能だとしてもPS3の価格設定は戦略的には問題だったように思います。




初期型PS3
初期型のPS3はPS2互換

なぜPS3は高額なハードとなってしまったのか

PS3の開発と販売の計画が進み、求めるハード性能や仕様から製造コストがどうしても高くなってしまったのでしょう。

PS2成功の原動力になったDVDプレイヤーとしての機能。そして既存のプレイステーションとの互換でした。その成功体験を踏襲し、PS3ではDVDの次世代規格Blu-ray(ブルーレイ)ドライブを搭載。そしてPS、PS2との互換も実現しています。

完璧ですね。

しかしこれは求めすぎた。

PS3のwikiによれば59,800円の60Gモデルの製造コストは外部の証券会社の試算によれば発売当初85,000円となっており、1台あたり25,000円の赤字という状況でした。

ゲームファンの多くは、PS3の価格に驚き尻込みしたはずですが、ソニーとしても限界まで小売価格を抑えた結果なのでしょう。

すばらしい性能を持ったハードが誕生したのは事実でしょうが、少々オーバースペックだったようにも思います。

ハイビジョンでのゲームや映画再生(Blu-ray)可能なPS3。当然そのグラフィックを堪能するためにはハイビジョン対応のTVが必要ですだったのです。

2011年の7月の地上波アナログ放送が終了を前にTVの特需がくるのは2006年のPS3発売から数年後のことになります。

つづく



2013年10月24日木曜日

PS4の販売予想(2) PS3との競合

先のエントリー「PS4の販売予想(1) PS3の販売台数推移からの予測」にもあるのですが、もう一度日本国内での売上のグラフを。


このグラフをみると、2010年のWiiとPS3の売上台数はほぼ同じ、150万台くらいです。
その後、Wiiは急激に売上を落とし、2011年では100万台を割り込み2012年で50万台。それに比べると、PS3の売上台数の落ち込みは緩やかなものになっています。

販売開始後のWii販売台数の立ち上がりを考えると、ある程度普及し尽くした感もあるのでしょうが、WiiFitなどの新機軸の遊び方を提供し、ブームを巻き起こした反面、飽きられるのも早かったということなのでしょうか?

PS3は、2013年現在でも国内で年間60~70万台程度は売れそうな(適当ですみません。データを探しています。)感じです。

PS4は日本では2014年2月22日の発売となります。PS3の販売台数が国内100万台に達したのが発売から8ヶ月後という数字から想定すると、2014年で100万台も売れればよいかなと思うのですが、PS3もそれほど急激な落ち込みは無いようにも思います。

ソニーはPS4発売後もPS3の販売は続けるそうですし、PS4の最大のライバルはもしかしたらPS3になってしまうのかも知れませんね。

2013年10月22日火曜日

ゲーム業界、ハードウェア@2ch掲示板 ゲハ なぜ戦うのか(2)

ゲーム業界、ハードウェア@2ch掲示板 ゲハ なぜ戦うのか(1)」からの続きです。

プレイステーションとセガサターン。1994年の年末にほぼ同時に発売された2つのハード。

3D技術を使った今までにない映像を体験させてくれるこの両機は次世代ゲーム機戦争の主役となりました。

当時は格闘ゲームブームの真っ最中。セガのバーチャファイター、ナムコの鉄拳がアーケードゲームを席巻していた時代に、家庭用ゲーム機で同じゲームができるというだけで、4万円のゲーム機本体の価格を安いと考えるユーザーも多くいました。

バーチャファイターをキラーソフトに持つセガと、それに対抗するべくナムコ(鉄拳)を味方に付けたソニーの殴り合いが1年ほど続きます。

両機の発売から約1年後、1996年初頭。事件が起こります。

プレイステーションへのファイナルファンタジー7発売のニュースがよくわからないCMとともに発表されました。(うろ覚え)

ここで勝負あり。


その後のハード発売はこのような流れ。

1998年11月:ドリームキャスト(セガ)

2000年 3月:プレイステーション2(ソニー)

2002年 2月:XBOX (マイクロソフト)


PS互換機能とDVDプレイヤーとしての需要を背景に盤石としたPS2は、他の追従を許さず圧倒的な普及を見せます。

プレイステーションでセガをやっつけたソニーは、その後継機PS2にて本当の意味で覇権をとることになります。

ソニープレイステーション(2)の勝利で終わった一連の次世代ゲーム機戦争。

敗者であるのはセガという会社だけではありません。セガサターンの発売からドリームキャストの終焉までの数年間にわたりセガを愛し、敗戦を自らのことのように悲しんだユーザーはどこへ行けばよかったのでしょうか?

この戦争がその後の新たな闘争への火種となるのは明らかでした。

2013年10月19日土曜日

ゲーム業界、ハードウェア@2ch掲示板 ゲハ なぜ戦うのか(1)

ネットの中でも個性的な2ch。中でも異彩を放つのが「ゲーム業界、ハードウェア板」。いわゆる「ゲハ」と呼ばれるカテゴリがあります。

このカテゴリ(ゲハ)の中では新作ゲームやハードの情報。発売前や直後のレビューなどの膨大なコメントで埋め尽くされ、ハード各社に属するファンがそれぞれが敵対しあっているかのようにお互いをののしりあう戦いの場。

その昔、ファミコン、スーパーファミコンと任天堂独断状態であったゲームハードの時代からソニーの参入などもあり、1990年代に次世代機戦争なるものが発生しました。

スーパーファミコンの次に覇権を握るハードメーカーはどこなのか?

ソニーのプレイステーション、セガのセガサターンの戦いはちょっと大げさですが壮絶なものでした。
王者任天堂次世代ハードNINTENDO64が遅れて登場。家電の大手NECのPC-FXや、パナソニックの3DOの乱入。まさに群雄割拠。

私の周りでも、プレステ派とサターン派でちょっとした派閥が生まれたほど(笑)。



下地はその数年前に出来ていたのです。

元々セガは任天堂に並ぶ世界的なゲームハードメーカーでした。

しかし、国内ではファミコン-スーファミという任天堂の独壇場であった1980年代。セガのハードは「これファミコンじゃないよお母さん」状態。

大人たちは家庭用ゲーム機のこと「ファミコン」と呼んでいた時代。

任天堂の牙城を揺るがすべく、NECが高い技術力を持って投入したのPCエンジン。しかし任天堂王国を脅かすことはありませんでした。

この時代、任天堂以外のハードしか持っていなかった子供たちは特有の劣等感と相反し、プライドのようなものが心の中に芽生えてきます。

今に見ていろ。任天堂をやっつける!



両方買えばいいじゃん。






いいえ。違うのです。


それから数年後、3Dポリゴンゲームの幕開けとともに、王者任天堂に一瞬の隙が生まれます。

当時プレステが39,800円。サターンが44,800円という高額なハード。しかしながらそんな金額では語れないプライドを掛けた戦いが次世代ゲーム戦争の火蓋を切って落とすことになります。

全ては覇権を取るために。

2013年10月18日金曜日

PS4の販売予想(1) PS3の販売台数推移からの予測

いよいよ発売が近いPS4。さてどのくらい売れるでしょうか?

とっても気になるのでまずはPS3の販売推移について調べてみました。
PS3の販売推移をもとにPS4の販売数がどのくらいになりそうか予想してみたいと思います。

2006年の11月1日に発売されたPS3は、wiiに負けた的なイメージを持っている方も多いと思いますが、実際はどうだったのでしょう?

PS3と参考までにWiiの両ハードの売上台数の推移をみてみることにします。

参考にしたのはこちらのサイト
※上のメニューのTools からグラフのようなものが見れます。

一つ目はこれ。

PS3,Wiiなど主要ゲームハードの売上推移 日本版
こちらがPS3やWii、XBOX360などの主要ハード日本での販売台数推移となっています。


PS4販売台数の初動 日本版 2006


こちらがPS3とWiiの初動部分(2006年のところ)拡大図


これを見ると、PS3の2006年販売台数は、50万台(黄色)。Wiiは100万台(青色)と読み取れます。

2007年の記事によると

エンターブレインが2007年3月末までのゲーム機の累計販売台数を発表しているなりよ。これによると、昨年11月11日発売の「PS3」は4か月半で約81万台、昨年12月2日発売の「Wii」は4か月で約195万台を販売しており、「Wii」が「PS3」の倍以上という圧勝状態になっていることが分かるなりね。


とありますので、2006年の数字としては、PS3が50万台、Wiiが100万台ってのはあっているのかな。

またこちらの記事(ロイター2007年7月18日)によると

エンターブレインの調査では、PS3の国内販売数は15日時点で約101万台(15日時点)となった。エンターブレインによると、Wiiは昨年12月末までに国内で約98万9000台が販売された。1月中には100万台を超えたとみられる。エンターブレインの直近の集計数値では、Wiiの国内販売数は約291万台(8日時点)となっており、PS3に3倍近い差をつけている。

てことは、発売(2006/11/1)から約8か月後(2007/7/18)で100万台が売れたってことですね。
ていうかWiiはやっぱすごかったんだね。3倍て。

こんな記事も。
UPDATE 3-ソニー 、PS4の今期販売は500万台を計画 PS3より「遥かに早く」赤字解消へ

記事内では、2013年度(ってことは2013年3月末)までにPS4を500万台を販売する計画ということですね。※全世界の合計で

2006年度のPS3の販売台数は全世界で355万台ということですから、2割以上速いペースを計画してるってことですよね。

日本での発売は3ヶ月遅れの2/22。2013年の年度末3/31までは1ヶ月くらいしかありませんから、売れても20万台くらいでしょうから、誤差の範囲ですね。

PS4はPS3に比べて10,000円ほど価格が安くなっていることを考えると立ち上がりも期待できますが、昨今日本ではコンシューマーゲーム、特に据置型のゲーム機に元気がないようで、この辺が日本での発売が欧米よりも3か月も遅れる原因だったりするのでしょう。

つづく




2013年10月17日木曜日

PS4は2014年2月22日発売 価格は39,800円

さて。いよいよPS4 プレイステーション4の発売詳細がわかってきましたね。

日本では2014年の2月22日(猫の日)。価格は39,800円(税別)となりました。

PS4 本体

PS4コントローラー



39,800円といえば、PS2の発売時価格と同じ。PS3は20Gモデルでも1万円高い49,800円。60Gモデルに至っては、59,800円と度肝を抜かれましたが。良い感じの価格設定かと思います。

昨今日本では据置型ゲームハードが低調なムードですが、やっぱしゲームと言えば家のテレビで迫力あるものをという世代です。是非盛り上げてほしいですね。